食を通して日本を元気に そして世界平和を実現したい

出張料理人・オリーブオイルソムリエ

小暮 剛

出張料理人として世界95カ国を訪れ、日本人初のオリーブオイルソムリエとして講演やメニュー開発と幅広く活躍されている小暮シェフ。今回はシェフのご自宅に伺い、食と健康をテーマにお話しいただきました。

寝たきりの祖母がいたことが、出張料理をするきっかけに

小暮 剛

小暮 剛(こぐれ つよし)

明治学院大学経済学部を首席で卒業後、辻調理師専門学校を経て、渡仏し、リヨンなどで料理修行。帰国後、都内の有名レストランを経て、「出張料理人」「料理研究家」として独立し、各国大使館などでも腕をふるう。
「食を通じた予防医学」がテーマの講演やメニューの開発、商品開発、そして食の親善大使としても地域活性化に貢献している。
「情熱大陸(TBS系)」等のメディアにも取り上げられている。

日下部小暮シェフが料理人を志そうと思ったきっかけを教えてください。

小暮生まれながらに体が大きくて、よく食べる子でした。母親曰く、母乳もすぐに飲みきってしまい、離乳食も早かったそうです。離乳食時期は人参、ピーマンなどが嫌いな子供が多いのですが、僕は野菜も率先して食べていたらしいです。食べることが好きだったんですよね。

日下部ただ食べることが好きでも、料理を振舞うというのはまた別ですよね?

小暮そうですね。人を喜ばすことが好きなんです。実は僕は左利きなんですが、僕のお爺さんが左利きで、墓石屋さんだったのですが、その遺伝子を受け継いでいるのか、手先が器用だったんです。
小学校5年生のとき、学校の授業で目玉焼きを作ったら、先生にすごく褒められて、みんなにお手本にするように言われたことがきっかけで、”もしかして料理の才能があるのかも・・・”とその時最初に思ったんですよ。大学は明治学院大学を卒業してから、大阪の辻調理師学校に通って、それからフランスに行って料理の勉強をしました。

日下部人から褒められるというのは才能を開花するきっかけになりますね。フランス料理を勉強しようと思ったのは、何かきっかけがあったのですか。

小暮僕が中学生くらいのときに、料理天国という番組があったのですが、そこに辻調理師学校の小川忠彦先生がフランス料理担当として出演されていて、左利きで包丁で切ったり、調理してサーブする姿を見て、かっこいいなと思ったのです。自分も同じ左利きだし、小川先生みたいになりたくて、大阪の学校まで行きました。
料理人は早く修行をしたほうがよいのでは・・と思うところもあって、中学校を卒業したら専門学校にそのまま行こうかと思ったのですが、調理師学校から取り寄せたパンフレットに、先代の校長であった辻静雄先生のお言葉で、「フランス料理を志すのであれば、まず言葉が読めて書けなければいけない、経営感覚も身につけないといけない、あとは社会人としての教養も持たないといけない、それが料理人の基本」だと書いてあったので、回り道かもしれないけれど、大学に行き、経営やフランス語の勉強をしました。

日下部出張料理人として世界各国に呼ばれて行くというのは凄いことだと思うのですが、世界から支持され声が掛かるようになった秘訣は何だと思いますか?

小暮父方の祖母が20年くらい寝たきりだったんです。寝たきりの老人が家にいると家族で旅行にも行けないし、長らく外出もできない。昼となく夜となく起こされて、母親が介護をしていたんですね。その時に料理人がその御宅に行ってお料理をしたら、喜ぶ人がいるのでは?と思ったのがきっかけで、いろいろな御宅に伺って料理を作るようになりました。
全国のいろいろな御宅にいくと、作っている目の前で食べてもらうので、口に出さなくても表情を観れば満足しているかどうかは分かるものです。レストランの厨房ではわからない自分の料理に対するお客さんの反応で、素の表情からたくさんのことを学びました。24年間出張料理人をしていますが、世の中の人はどんな料理を望んでいるのかわかるようになってきました。
レストランというのは店構えで来て欲しいお客さんを選んでいます。女性が喜ぶお店や、中年男性が気軽に飲めるお店などのように、ターゲットを決めているわけです。
しかし出張料理の場合は、小さなお子さんからお年寄りまで、老若男女いろいろな方に食べていただかなくてはならないので、お客さんを選べないというところが、難しい部分ですね。

家ではデトックス作用のある玄米と、具だくさんの味噌汁

日下部淑美

日下部 淑美(くさかべ よしみ)

BODY INVESTMENT代表
フードエリート / 真実の予防医学食研究家 / 管理栄養士

プロフィール

日下部小暮シェフはオリーブオイルソムリエでもありますよね?

小暮僕の仕事はほとんどが口コミですが、今日食べたお客様が喜んでくださらないと、次の仕事にはつながらない。どうしたら最後のデザートまで美味しく食べていただけるかを考えるわけです。
もともと僕はクリームやバターを使ったフランス料理をつくっていたのですが、やはり野菜中心で動物性の脂を控え、クリームやバターを控えた料理になり、その代りに何を使うかということで、いきついたのがオリーブオイルだったのです。
イタリアの名門オリーブ園から、日本人で初めてオリーブオイルソムリエの称号を頂いております。

日下部素晴らしいですね。オリーブオイルをいろいろ知らないとソムリエとしての称号はいただけないと思うのですが、小暮シェフはどうやって多くの種類を知ったのですか?

小暮現地に行ってオリーブオイルを学びました。
ワインだと味で表現や評価をしますが、オリーブオイルはこれだけを飲んでの判断はしません。どんなに世界No1のオリーブオイルでも素材の味を引き出す脇役ですので、あくまでもフルーツや野菜などの素材が主役なんです。

日下部実際にオリーブオイルを食材にかけてみると、香りや癖もそれぞれあって、オリーブオイルが主張してしまうものもありますよね。

小暮良いオリーブオイルというのは軽くてさっぱりしていて、自己主張せず素材の味を引き出せるものが良いオリーブオイルですね。僕が一押しなのは、玄米ご飯にオリーブオイルを入れて炊いてしまうのです。玄米にもオリーブオイルにもデトックス作用がありますから、すごくいいですよ。

日下部私は玄米にココナッツオイルを入れて炊いたことはあります。お米がつやっとして美味しくなりますよね。それでいて油の感じは全くなく、違和感もなかったです。でもオリーブオイルは試したことがないですね。

小暮女性は玄米が好きな方が多いですが、男性に玄米が苦手な理由を聞いてみると、糠臭いということと、パサパサするという意見があるのですが、オリーブオイルを入れて炊くとつやつやするので、喉ごしがよくてパサパサしないんです。玄米臭さも抜けます。おむすびにしておくと冷蔵庫入れなくても3日くらい大丈夫です。普段、僕も家では玄米を食べているのですが、これに黒米とか赤米とか雑穀を入れて食べています。

日下部そうなんですね。予防医学、健康志向を打ち出してますが、何かきっかけはあったのですか?

小暮料理人をしていると夜中に食べたり、立ちっぱなしで賄いを食べたり、味見をたくさんするので、どこかでバランスをとらないといけないと思い、家ではデトックス作用のある玄米と、具だくさんの味噌汁くらいでバランスをとっています。お酒も飲めるのですが、家ではほとんど飲まないようにしています。

小暮正

日下部自分の健康管理を食事でコントロールして、お客さんのところで料理の仕事をするときには、ベストコンディションで取り組めるようにしているわけですね。食で健康にという思いもあると思いますが、食材の取り寄せとか料理をするときに気をつけていることはありますか?

小暮なるべく季節感を大切にして、その土地のものを使うようにしています。北海道では北海道の物、九州では九州のものというように。

小学校の運動会にピザやコンビニのデリバリーが来る時代

小暮正

日下部出張料理人の魅力ってなんでしょうか?

小暮醍醐味は目の前で食べていただいて、喜んでいただけることですね。一人でやっているので、喜ばれれば自分の成果ですし、失敗すれば自分の責任です。自分が一生懸命やったらやっただけ、お客様からお褒めの言葉をもらうことができるところですね。美味しかったという言葉はもちろんですが、よく言われるのは「楽しい時間をありがとうございました」と言われることが多いんです。僕が呼ばれるときはお誕生日とか、結納とか、だいたい人生の節目や記念日のことが多いので。

日下部料理本も何冊か出版していますが、レシピを考えるときのこだわりなどはあるのですか?

小暮手にとった方が、「これ作ってみよう」って実践してもらえるレシピにすることです。僕は余計なものを剥いで剥いで、本当に必要なものだけでシンプルに調味し、美味しくて簡単にできることを追究しています。
プロからみたらワンパターンなことをやっていると思うかもしれませんが、それくらいが丁度いいというか、それぐらいシンプルだがら見た人は作ってみようと思ってもらえるし、先日もフェイスブックで簡単なズッキーニのレシピを載せたら、結構みなさんくいついてくれましたよ。

日下部よく「簡単レシピ」というと、素材そのものを使うより、インスタント食品になってしまうことが多いですよね。たとえば、冷凍食品やミックスされたもの、カット野菜や缶詰を使う。
素材に手を抜いてはいけないと思うのですが、そこに手を抜いてしまう簡単レシピって多いですね。レンジでチンとか、化学調味料で簡単に調理とか。結局それで世の中が不健康になってしまうのではないかと心配になります。これを続けると子供の病気も増えてしまいそうですよね。シンプルにするという意味が間違っていると思います。

小暮僕は継続的に、繰り返し繰り返しできるレシピにするようにしているんです。
昔、NHKの総合ラジオで「ラジオビタミン」という番組があって、その中に「愛情レシピ」という料理のコーナーがあったんです。包丁で切る音や、”塩振りますよ”、”炒めますよ”「ジャー」という音を流すわけです。これがすごい反応が良くて人気だったのですが、テレビって見ているようで見ていないんですよね。ラジオは映像が無い分、集中するから良い。その代り、手の込んだものはついてこれないですが、簡単なものなら「早速作ってみました。美味しかったです」っていうFAXがたくさん届いていました。

日下部淑美

日下部私は指導をして改善させるコンサル的な仕事なので、レシピを研究するのはあまり得意な方ではなく、お料理を作る方は本当凄いなと、尊敬しています。食の問題など感じていることはありますか?

小暮日本人は動物性の脂肪を摂りすぎていると感じます。1970年より前の日本には、ハンバーガーを食べるという習慣がなく、ハンバーガーが入ってきたときは、変な噂がたっていました。今の子供はあたりまえに食べますよね。肉を食べる食習慣に完全に変わってしまいました。
日本人は海外のものを日本風に美味しくアレンジして、自分達に浸透させるのが得意です。こんなに世界の食事が簡単に食べられる国って、他にはないですよね。ただ、裏を返すと先祖から命を繋いできた食文化を失いつつあるということにもなるわけです。
僕の家の前に小学校があるのですが、運動会になると、ピザやコンビニのデリバリーが会場にたくさん来るんですよ。

日下部え~?今はそんな時代なのですか?

小暮そうなんです。僕もびっくりしました。配達が追い付かないそうです。
「いただきます」というのは命あるものを頂くという意味がありますが、お母さんが家族のために自分の命の時間を使って料理を作っているわけです。お母さんの命も込められているから、大人になってもお母さんの料理を思い出すものなんだと思うんです。
我々食に携わる人間は、限られた人に美味しいものを作ることに集中してきましたが、これからは生産者も守らないといけないし、食を通して日本を元気にしないといけない。そのために食の啓蒙をしています。

日下部私もお母さん方と話をしたことがありますが、テレビの影響が大きくて、良い物を誤解してしまっている感じです。良い物には敏感なのですが、すぐに飛びついてしまって、結局振り回されて何が良いのかわからなくなってしまっている人も多いように思います。

小暮本当はやはり親の世代の教育が必要なんです。食育のイベントでも、参加してくださるのはほとんどご年配の方で・・本当は子育て世代の方に来てほしいのに、ほとんど来られないですね。本当は難しいことではなく、簡単に言えば40年前の食事を見直せばいいんですよ。

日下部海外の人は自分たちの食生活を守っていますよね。他の国の食事があったとしても、それは日常にはならないわけで。
日本人は、給食がパンと牛乳で、日本の和食が日常ではなくなってしまっているわけです。最近はアトピーの人も増えてしまい、自分の子供がアトピーで悩んでいるお母さん達も多いですよね。でも実際にどんな食事をしているのか確認すると、菓子パンを毎日のように食べていたり・・。やはり食事が良くない子供が多いのが事実なんです。薬を上から塗るだけではなく、普段の食事が自分のカラダを作っているんだということを理解して、改善できたらいいですよね。

小暮剛・日下部淑美

食で医療費削減や健康づくりの力になれたら

小暮正

日下部お茶にもこだわっているようですね。

小暮そうですね。これは生命力のあるハーブなんですよね。フレンチでもイタリアンでもハーブを普通に使うように、ハーブをもっと取り入れてほしいなと思っています。
僕は夜中でもジムに行くのですが、お茶も添加物のない安全なお茶を飲むことで、自分が健康に気をつけているというモチベーションになっているわけです。自分の意識を切らさないためにも、常に摂りいれるようにしています。

日下部凄いですね。健康への意識も高くしっかり管理も出来ているのですね。シェフのこれからの展望というか野望を教えてください。

小暮食を通して日本を元気に地域活性、そして子供たちが日本に生まれて良かったと思えるようにしたいですね。日本人を元気にしたいと思います。
世界ではまだ戦争をしているところもありますが、食事が充実していれば、争いも起きないのではないでしょうか。言葉の通じない人同志でも、食であれば一つになれるし、食の力で健康になれば、もっと前向きな考え方になって、世界が穏やかになっていくと思います。食を通して世界平和を実現したいですね。

日下部世界95か国を周られていますが、さらに全世界を周るという野望はないのですか(笑)

小暮世界では95か国、日本は全都道府県を周りましたので、あとはご縁があればと思っています。
これからは今までの経験を活かして、食の部分で医療費削減や健康づくりの力になれたら嬉しいですね。

日下部我々も同じような想いですので、是非一緒に啓蒙していけたらと思います。実際に小暮シェフに料理をお願いしたい場合はどうしたらよいのですか?

小暮ホームページに書いてあるので見ていただければと思います。家庭の特別な記念日などで呼ばれることもありますが、最近は会社のイベントパーティでも呼ばれることも多く、需要も増えていますね。

小暮剛・日下部淑美

日下部淑美からひとこと

料理というのは作り手の命の時間を使い、作り手の感情が込められたもの。
愛情がこもっていなければ美味しい料理はつくれません。
出張料理人という立場だからこそ、お客様の表情がわかるとおっしゃっておりますが逆もしかり。
どのような体調でどのような気持ちで料理をしているのかお客様からもバレてしまうもの。
そんな緊張感のある仕事だからこそ日頃の体調管理がとても大切なのだと思います。
健康維持に努めて全力で料理をつくっていらっしゃる小暮シェフだからこそ世界中にファンがいるのだと思います。やはり良い仕事をするためにも健康な体が大切だということになります。健康を無くして気づいても手遅れなこともあります。日々の些細な意識を皆様にも持ってもらえるとうれしいです。

会社データ 関連リンク

船橋市東船橋7-15-13

TEL: 047-422-1350

代表者:小暮 剛

公式サイト

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